こんにちは、たける(@takerushima)です!
このページでは2022年上半期の時事問題・重大ニュースを紹介&解説しています。
2022年1月〜6月までに起きた出来事のうち、受験・就活・資格試験に出題されやすい時事問題をまとめましたので、皆さんの勉強にお役立てください。
元教員の社会科塾講師がポイントをわかりやすくまとめました!
このページの使い方
このページで紹介している時事問題は、中高生のみならず、就職活動の大学生や社会人のかたなど、多くの方々にご活用いただいています。
- 中学受験、高校受験、大学受験の対策
- 中学受験生をもつ保護者さまの学習
- 中学生・高校生の定期テスト対策
- 就職活動、公務員試験、社会人の資格試験対策
- 教員の方、教育関係者の方
このブログでは、社会科の勉強という観点から、試験などに出題されやすい時事問題をまとめています。用語の丸暗記にならないよう、ポイントを押さえながら学習していくことが可能です。
- 用語の丸暗記にならないようポイントも解説しています!
- 社会科で習う内容をもとに整理!テスト対策や就活などの勉強に最適です。
- 動画で勉強したい人向けにYouTubeでより詳しく解説しています!
より詳しい解説をYouTubeにアップしています。登録者1万人以上のチャンネルで、効率よく動画で勉強してみてください!
2022年上半期の10大ニュース一覧
まずは押さえておくべき2022年上半期の時事問題を見ておきましょう!
- ロシアがウクライナへ全面侵攻を開始(2月〜)
- 原油価格や物価が高騰、ガソリン補助金開始(3月〜)
- 新型コロナ、オミクロン株による「第6波」(1月〜)
- 円安が加速、1ドル=135円台に(3月〜)
- 成人年齢を18歳に引き下げ(4月)
- プラスチック資源循環促進法が施行(4月)
- 通常国会で侮辱罪厳罰化やこども家庭庁設置法など成立(6月)
- 最高裁判所「違憲立法審査権」による違憲判断(5月)
- RCEP(地域的な包括的経済連携)協定が発効(1月)
- 北京オリンピック・パラリンピック開幕(2・3月)
それぞれがどんな話題だったのか、押さえておくべきポイントは何かを順番に確認していきましょう!
【1】ロシアがウクライナへ全面侵攻を開始
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻を開始しました。
ロシアは「特別軍事作戦」であり戦争ではないと主張していますが、ウクライナの主権を侵害する侵略行為であり、ウクライナの人々の人権や命が数多く奪われています。
ロシアによる侵略により、一時は首都キーウやチョルノービリ原子力発電所(チェルノブイリ原子力発電所)なども戦場となりました。記事執筆時点でも戦争は終結しておらず、ロシア軍はウクライナ東部の完全掌握を目指しているとみられています。
多くの知っておくべきポイントがありますが、特に話題になっているものとして以下が挙げられます。
- NATO(北大西洋条約機構)によるヨーロッパの安全保障のあり方が変わろうとしている
- 難民が多く発生したほか、虐殺などの人権問題も起きている
- 国連の安全保障理事会でロシアが拒否権を行使し機能不全に陥った
- エネルギーや食料品の価格高騰といった影響も起きている
21世紀という「平和の世紀」に、安全保障理事会の常任理事国であるロシアが戦争を起こしました。
時事問題としてももちろん大切ですが、それ以上に、ロシアの行いによって人権、そして数多くの命が奪われていることを認識しなければなりません。
ロシアが侵攻を開始して1週間の時点での動きは動画にもまとめてありますから、今一度内容を振り返ってみてください。
【2】原油価格や物価が高騰、ガソリン補助金開始
ロシアによるウクライナ侵略の影響もあり、2022年は原油価格や食料品をはじめとする物価高騰が起きています。
まず食料品は、2021年に北米(アメリカ・カナダ)などで小麦が不作になっていたところに、2022年、小麦の有数の産地であるウクライナが戦場となり、小麦の輸出量が大幅に減少したことで、価格の高騰が起きています。
エネルギーは、2021年に新型コロナの影響で需要と供給のバランスの崩れが発生していたところ、2022年、資源を多く持つロシアが戦争を始めたために欧米諸国が経済制裁を課すなどしたため、価格の高騰が起きています。
さらに日本国内では、この後紹介する急激な円安の影響も加わって、食料品・電気代・ガソリン代などが高くなっています。
- 1月から:ガソリン価格抑制のために「ガソリン補助金」を開始
- 8月から:電気代高騰対策、電気不足対策のため「節電ポイント(節電プログラム)」を開始
価格高騰については、
①なぜ起きているのか
②どのような商品が価格高騰しているのか
③価格高騰をどのように抑えるべきか
などが時事問題の勉強ではポイントとなってきます。
自分の日々の生活で身の回りにどのような変化が起きているのかを感じながら、日常生活とニュースを結びつけるようにしてみましょう。
【3】新型コロナ、オミクロン株による「第6波」
2022年も新型コロナウイルス感染症の影響が私たちの生活や経済に大きな影響を与えています。
1月から変異株「オミクロン株」への置き換わりが進み、いわゆる「第6波」と呼ばれる感染拡大の波が生じたため「まん延防止等重点措置」が発令されました。また、7月になるとオミクロン株の「BA.5」による「第7波」が起きています。
オミクロン株は、今までの変異株に比べて感染力が強いなどの影響もあり、子どもの感染が増加していることなどが多く報道されています。
- 1月から:オミクロン株による第6波で「まん延防止等重点措置」が発令
- 7月から:オミクロン株「BA.5」による第7波で「BA.5対策強化宣言」を新設
また、2022年は新型コロナワクチンの3回目接種、4回目接種がそれぞれ行われるようになっています。
3回目接種までは12歳以上が対象とされてきましたが、4回目接種は重症者数を抑える目的のため、60歳以上や基礎疾患のある人など、重症化リスクの高い人のみを対象として実施されています(2022年8月現在)。
【4】円安が加速、1ドル=135円台に
2022年3月中旬から「急激な円安」が進んでおり、輸入品の価格が高くなるなどの影響が出ています。
3月上旬までの為替相場(為替レート)は1ドル=115円程度でしたが、6月中旬には1ドル=135円程度となっており、短期間で円安が大きく進んだことで、企業や家計にも影響が出ています。
今年はロシアによるウクライナ侵略などの影響もあり、エネルギーや食料品(小麦など)の価格も高騰しており、そこに円安の影響も加わる構図になっています。
下半期は、この価格高騰に政府がどう対応していくかもポイントです。
- 円安ドル高:円の価値が安くなり、ドルの価値が高くなること(例:1ドル=100円→1ドル=120円)
- 円高ドル安:円の価値が高くなり、ドルの価値が安くなること(例:1ドル=100円→1ドル=80円)
この急激な円安の背景には、日米の金利差の拡大があります。
アメリカなど世界各国では今まで、新型コロナで落ち込む景気を支えるため金融緩和政策が実施され、市場に大量のお金が供給されていました。その結果、物価が上昇してインフレ傾向になっていたほか、ロシアによるウクライナ侵略の影響でエネルギー価格や小麦価格が上昇したことも加わって、アメリカでは40年ぶりのインフレ率を記録しています。この歴史的なインフレを抑えるため、金融緩和政策から金融引き締め(政策金利の引き上げ)への転換が行われだしています。
一方の日本では2013年のアベノミクス以降、日本銀行は物価上昇率2%という目標達成に向けて大規模な金融緩和を続けてきましたが、現在のエネルギー価格が上昇している局面で金融緩和を止めると景気が悪化する恐れがあるとの見方から、金融緩和を継続する方針を崩していません。
なぜ円安が起きているのかまでの理解には高校レベルの知識としっかりした理解が必要です。中学生はまずは円安・円高の基礎的な知識を理解しておきましょう。
【5】成人年齢を18歳に引き下げ(4月)
4月1日に改正民法が施行され、成人年齢が約140年ぶりに変わりました。これによって、今まで20歳とされてきた成人年齢が18歳へと引き下げになりました。
成人年齢が引き下げられることによって、クレジットカードやローン契約、女性の結婚できる年齢、裁判員に参加する年齢も18歳に合わせられます。一方、飲酒・喫煙や競馬・競輪・競艇などは青少年保護の観点などから、引き続き20歳以上のままとなります。
また、これに合わせて少年法も改正され、18・19歳は「特定少年」として扱われることになります。これまで少年法で保護されてきましたが、裁判員裁判の対象事件に限って実名報道が解禁されています。
時事問題では選挙権年齢なども頻出です。今回の成人年齢引き下げに先駆けて、2007年に成立した国民投票法では、国民投票の投票権が18歳以上とされていたほか、2016年には選挙権年齢が18歳以上に引き下げられていました。
【6】プラスチック資源循環促進法が施行(4月)
2022年4月、「プラスチック資源循環促進法」(通称「プラ新法」)が施行されます。
「プラスチック資源循環促進法」では、プラスチック製品の設計・製造から提供、販売、回収、リサイクルまでの各段階で、必要な措置を講じることが求められていて、とりわけ、無料で提供されているプラスチック12品目(下参照)の削減が事業者に義務化されていることがポイントです。
プラ新法の施行によって、店舗によってはスプーン・ストローなどが有料になる可能性が指摘されていたり、プラスチックの量を削減したスプーン・フォークの登場や、紙ストロー、木製スプーンなどの導入も広がりつつあります。
プラスチックについて、3R(リデュース:ゴミの削減、リユース:再使用、リサイクル:再利用・再資源化)にRenewable(リニューアブル:再生可能な資源にかえること)を加えた3R+Renewableの考え方が基本原則となっており、私たちの身の回りでも、バイオマスプラスチックで作られたレジ袋など、再生可能な資源が使われるようになってきています。
2020年7月にはレジ袋有料化という施策もありました。近年、地球規模の問題として、地球温暖化問題のほか、海洋プラスチックごみ問題なども知られるようになっています。
持続可能な社会を目指すための目標「SDGs(持続可能な開発目標)」への取り組みも進んできています。
- スプーン
- フォーク
- ナイフ
- ストロー
- マドラー
- ヘアブラシ
- くし
- 歯ブラシ
- カミソリ
- シャワーキャップ
- ハンガー
- 衣類用カバー
コンビニなどで無料でもらえるスプーン・フォーク・ストロー。プラ新法をうけて、新しい形のスプーンや、紙ストロー、木製スプーンなどが登場しています。身の回りのものがどのように形を変えるのか、買い物の時などに観察してみましょう。(面白い形のものも登場していますよ。)
【7】通常国会で侮辱罪厳罰化やこども家庭庁設置法など(6月)
6月、通常国会が閉会しました。
今年度の通常国会では以下のような法律が成立しましたので、そのポイントを確認しておきましょう。
- こども家庭庁設置法:2023年4月に「こども家庭庁」を設置するための法律が成立
- こども基本法:すべての子どもの人権を尊重するために必要な基本法が成立
- 改正刑法:侮辱罪の厳罰化や拘禁刑の創設など
【8】最高裁判所「違憲立法審査権」による違憲判断(5月)
5月25日、最高裁判所は在外邦人が最高裁判所裁判官の国民審査で投票を認められていないのは憲法違反だとする判断を下しました。最高裁判所が違憲立法審査権(法令審査権)で法令を違憲と判断したのは11例目となります。
違憲立法審査権とは、国会によって作られた法律などが憲法に違反していないか判断する権限のことで、その最終的な決定権を最高裁判所が持っています。日本国憲法第98条で「国の最高法規」とされている憲法に、法律が反しているかどうかを判断するため、最高裁判所は「法の番人」とも呼ばれています。
また、最高裁判所裁判官の国民審査とは、衆議院議員総選挙の時に同時に実施される、辞めさせたいと思う裁判官の氏名欄にバツ印をつけて、有効投票の半数を超えた裁判官は罷免となる制度のことです。最高裁判所は違憲立法審査権という強い権限を持っているからこそ、主権者である国民が裁判官を審査するために設けられています。
今回の裁判では、在外邦人に最高裁判所裁判官の国民審査を認めていない国民投票法は日本国憲法第15条に反すると最高裁判所は判断しました。主権者である国民の権利を最高裁判所は重視したと言えます。
中3公民で習う内容が、とても盛りだくさんに出てくる話題でした。
違憲立法審査権も最高裁判所裁判官の国民審査も、根底には国民主権という憲法の三大原則のうちの1つを守るための大切な権限であることがわかると思います。
ぜひ裁判所の持つ権限について、教科書で今一度整理をしておきましょう。
【9】RCEP(地域的な包括的経済連携)協定が発効
2022年1月、RCEP(地域的な包括的経済連携)協定が新たに発効しました。
RCEPは中国が主導して作った経済連携協定で、日本・中国・韓国のほか、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国や、オーストラリア・ニュージーランドの計15カ国が参加しています。日本にとっては、中国や韓国と初の経済連携協定になることもポイントです。
また、経済連携協定とは自由貿易を推進していくための協定の1つで、物品の関税のみならず、ヒト・モノ・カネの移動の自由化を図る協定のことを言います。RCEPの発効で、GDP・貿易額・人口それぞれ世界の約3割を占める、世界最大級の自由貿易圏になると言われています。
同じ経済連携協定では、日本が主導しているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)もあり、今後、TPP・RCEPがそれぞれどのように広がっていくのか、注目されています。
21世紀に入ると、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を結んで自由貿易をおこなっていく動きがさかんになります。TPPやRCEPは日本も参加する自由貿易の大きな枠組みになるということで入試などでも問われやすいです。聞き慣れなくともその意味を理解しておきましょう。
【10】北京オリンピック・パラリンピック開幕
2022年2月、北京オリンピック・パラリンピックが開かれました。
2021年の東京オリンピックに続き、新型コロナ禍で開催されるオリンピックとなりました。中国政府は「ゼロコロナ政策」を継続しており、東京オリンピックでもとられた「バブル方式」のような感染対策が実施されました。
また、北京オリンピック・パラリンピックについて、アメリカやイギリスなどが「外交的ボイコット」を行いました。
外交的ボイコットとは、北京オリンピック・パラリンピック期間中に、開会式などの式典に政府首脳や政府関係者を派遣しないことで、話題になっている中国の新疆ウイグル自治区での人権問題をめぐって、人権侵害を認めないという強いメッセージを国内外に示すための外交手段です。
中国の新疆ウイグル自治区にはイスラム教を信仰するトルコ系民族のウイグル族が多く生活をしていますが、ウイグル族に対し、中国共産党が100万人以上もの人を強制収容したり、思想教育や不妊手術などをおこなっていることが指摘されており、2021年、アメリカはジェノサイド(集団殺害・集団殺戮)と認定していました。
日本も「外交的ボイコット」という言葉こそ使っていませんが、事実上政府首脳の派遣を見送り、アメリカ・イギリスなどと足並みを揃えました。
北京オリンピックの開会式では、ウイグル族の選手が最終聖火ランナーを務めました。欧米の批判をかわす狙いがあるとみられますが、その方法が「挑発的」との声も上がりました。
時事問題の学習で大切なこと
受験・入試での時事問題の勉強というと、とにかく「大事な用語を覚えよう」となりがちですが、それだけでは十分な学習とは言えません。
出題者は決して、「どれくらい用語を知っているのか」という知識量だけを知りたいのではなく、「いかにニュース・世の中に興味を持てているのか」「みずから学ぶ姿勢を持っているか」という学習姿勢も測るために時事問題を出題することが多いからです。
- ニュースや世の中に興味・関心を持つことができているのか
- 一部の分野だけでなく、さまざまな話題に興味・関心を持っているか
- みずから積極的・能動的に調べ、学び続ける姿勢を持っているか
- 深い学びをできているか(課題が何かを認識し、その解決策を考えることができているか)
教員のとき、実際に時事問題を出題していましたが、知識を問うだけでは出題する意味があまりなくなってしまうんですよね…(クイズのようになってしまい学習の本質から外れてしまうことが多いんです。)
ですから、時事問題を勉強する際は、ひとつひとつの時事問題について、みずから主体的に興味や関心を持って、今の世の中で一体何が起きているのかを学ぼうとする姿勢が大切です。
重要な用語を押さえることはもちろん、わからないと思ったことは調べてみたり、「なぜ?」という観点を持って日々のニュースに触れようとするその姿勢こそが、時事問題の学習を深めることになります。
- 重要な用語は覚えるだけでなく、意味も理解しておく
- 内容や用語でわからないことがあれば調べて理解しようとする
- ひとつひとつの時事問題について、自分なりの意見や考え方を持ってみる
そういった学びの助けになるよう、大切なポイントをこの記事でまとめましたから、ぜひそれらを参考に勉強してみてください。
また、同じテーマの内容を、より詳しく動画で学べるよう、YouTubeに動画をアップしているので、こちらも見てみてください。